【分配金に意味は無し】投資信託の分配金と預金の利息の違い

投資信託・ETF等

私は以前、「投資信託の分配金は意味が無いですよ」といった趣旨の記事を書いたことがあります。それはそれで分かり易く書けたつもりではあるのですが、多くの方が分配金の意味を取り違えているのは預金の利息との違いを説明していない為かとも思い、今回その違いについて解説してみようと思います。

本記事のポイント
  • 投資信託の「分配金」には特別な意味は無い(運用会社に勝手に一部解約されただけなので、多くても損も得もない)
  • 銀行預金の「利息」に該当するものは、投資信託ではリアルタイムで基準価額に反映されている。
  • 投資信託の「分配金」と銀行預金の「利息」は仕組みが全く異なり、意味するところも違う。

投資信託の「分配金」と銀行預金の「利息」の違い

恐らく世の中の大半の方は投資信託の「分配金」は銀行預金の「利息」のようなものだと勘違いしています。「利息」と同じようなものだから、「分配金」は高ければ高い程良いと。だから「分配金」の高い投資信託が売れているのです。でも、これは全くの間違いです

大半の方が誤解したままなのは、誤解したままの方が投資信託が売りやすいからです。販売会社(銀行や証券会社)は意図的に誤解を生じるような表現を使って投資信託を売っていました(今は変わりつつある?かもしれません)。

銀行預金の「利息」はどう生まれてくるのか?

銀行預金の「利息」がどうやって生まれるのかについては、大抵の人が理解しているかと思います。一応ざっくりですが図解します。

銀行預金が利息を生む仕組み
  1. 預金者が銀行に預金をします(銀行にお金を貸す)
  2. 銀行は預金者から預金を集め、それを有力な貸出先(企業など)に貸します。
  3. 銀行からお金を借りた企業は、その借りたお金を元手に事業活動をして利益を得て、銀行に借りたお金を利息を付けて返済します。
  4. 銀行は貸出先から回収した元本と利息(銀行の利益)の内、利息の一部を預金者に利息として還元します。

この銀行預金に「利息」が出る仕組みの中で、投資信託の「分配金」を理解する上で重要なポイントが一つあります。

それは、上記の仕組みの中で、1~3の期間(預金者が銀行にお金を預けて、銀行から利息が出る前まで)は預けたお金の価値が全く変わらないことです。

100万円預金したら、利息が付くまでその預金の価値は100万円で変わりません。

当たり前の話だけど、ここが重要なポイントよ!

投資信託の仕組み

投資信託が銀行預金と異なり、損をすることがあるというのは投資をしたことがある人なら聞いたことがあると思います。どういう仕組みかというと・・・

ここではちょっとの間「分配金」のことは忘れててください。

投資信託の仕組み

図中にも吹き出しで書きましたが、投資信託は投資家から集めたお金を、株式や債券に投資しています。

投資した株式や債券は常に価格が変動しています。この価格の変動はリアルタイム(1日1回)で投資信託の価値として基準価額に反映されています

この株式や債券の価格が変動するため、投資信託は預金と異なり損をすることがあるのです。

そして、投資信託の基準価額に反映されるのは、株式や債券の価格だけではありません。株式の配当金や、債券の利金もリアルタイムで反映されています

投資信託は銀行預金と異なり、投資先の株式や債券の価値(配当金や利金も含む)の一切合切の価値を毎日基準価額に反映させています。

銀行預金と投資信託の違い

以上の説明を踏まえて、銀行預金と投資信託の違いを説明します。分かり易くするために、条件を揃えます。

<銀行預金>

預金者は100万円を預金して、1年後に1%の利息を得ることを想定します。

この時、預金した100万円の価値は時間と共にこう変化します。

銀行預金は一定期間に発生した「利息」をある時まとめてくれるからこうなるのね。

<投資信託>

投資家は100万円を投資信託に投資するとします。投資信託は年率1%の金利が出る債券に100万円を投資します(それ以外の信託財産は無いものとする)。また、実際はありえませんが、その債券価格は全く変動しないものとします。

そうしたとき、投資した100万円の価値は時間と共にこう変化します。

上図は投資した有価証券の利金のみを考えたときのものです。実際は債券の価格が変動するので、もっと上下に変動することになります。

取り合えずまとめ。投資信託の基準価額に反映されているもの

ここまでで解説したことをまとめます。

銀行は我々が預けた預金を、我々の見えないところで、企業などにお金を貸してそのお金を増やしています。その分け前を「利息」としてある時にまとめてくれます。なので、「利息」は我々が預けた預金が生んだリターンとなります(多ければ多い程、我々の得たものは大きいといえる)。

一方、投資信託は我々が投資したお金を、株や債券に投資してその「値上がり/値下がり損益」、「配当収入」、「金利収入」などを得ています。そしてそれらは毎日基準価額に反映されています。要するに銀行預金の「利息」に該当するものはある時まとめてもらうのではなく、その日発生したものはその日のうちにもらっているわけです。

あれれ?「分配金」は?

分配金に意味が無いってことがちょっと見えてきた?

では投資信託の「分配金」ってなんなのよ?

上記で、投資信託が投資している株や債券が生み出す損益は、全てその日の内に基準価額に反映されると説明しました(外国資産など一部は翌日の基準価額に反映されることもあります)。

ということは、投資信託の「分配金」とはなんなのでしょうか?

「分配金」とは投資信託の運用会社が「分配金」の分だけ”勝手に”投資信託を解約して現金化してくれる仕組みにすぎません。そもそも上の説明でも明らかなように、投資信託が投資している株式や債券から得た収入は全て基準価額に毎日反映されています。

「分配金」の額は基本的に運用会社が勝手に決めます。なので特別な意味はありません

金融庁が乗り出してくる前までは、ホントに勝手に決めてました。やたら高分配の投資信託が多かったことを記憶してる人も多いんじゃないですか?

金融庁が乗り出してきてからは、流石に運用成績なんかを考慮に入れたもっともらしい理由を付けた額を分配していることが多くなったわね。

とはいえ、「分配金」は運用成績とは直接関係がないことは、上の説明を理解できれば分かると思います。

分配金がただの解約サービスであることは別の記事でもまとめていますから、そちらもご覧ください。記事へのリンクは一番下にまとめてあります。

「分配金」にも意味がある場合もあります。

上記の通り、「分配金」は運用会社が投資信託の運用成績とは直接関係ない所で決めている額です。なので特に意味は無いのですが、ある種の投資信託には意味があります。

パッシブファンドの「分配金」には意味がある

それは日経225に運用成績を連動させるといったパッシブファンドの「分配金」です。

どういうことかというと、通常、株式の指数(日経225やTOPIX、米DOW30など)は配当金を含んでいない指数なのです。

日本でいえば3月末などの権利確定日に権利落ちで指数がガタっと下がりますよね?

なので、指数の構成銘柄をそのまま保有していると、株式の配当金の分だけ投資信託の方がパフォーマンスが良くなっていきます。「そういうファンドです」と最初から定義していればそれでも問題ないのですが、綺麗に指数に連動させたいときは、その配当金分を「分配金」として出してしまうと指数との連動性を保つことが出来ます。

そういった理由で「分配金」を出すことはあります(この場合も「分配金」が我々の利益になるといったことはありませんが)。

大昔は金融庁の指導で「分配金」が出ていた?

すみません。今となっては確たる事跡がない(みつからない)のですが、かつて金融庁が「分配金」を出さない投資信託はありえないという方針を打ち出していたことがあります。

どういうことかというと、投資信託を年をまたいで保有すると、値上がり益(含み益)を持っている投資家は税金を払わないことになる(投資信託の値上がり益は、その利益を確定させたときに課税される)。要するに税の先送りだといって問題視していた時期があります

なので、その一部でも良いから税金を取る仕組みとして「分配金」を利用していたんです。

近年は「NISAだ」、「積み立てだ」といって長期投資を推奨しているので、逆に分配金が出ると都合が悪いので、こういうことは言わなくなりました。

年1回決算の投資信託で誰も「分配金」を期待していないのに、毎年10円の分配金を出している投資信託を見て不思議に思ったことはありませんか?こういうことが背景です。

結構分かり易く書いたつもりですが・・・

仕組みとしてはそれほど難しい話ではないんですが、投資信託の「分配金」が銀行預金の「利息」とは全く別物であるということはなかなか理解されていないのが現実です。

実はこういう説明って投資信託の目論見書にも書いてあるんですよね。とても分かりにくいですが(笑)

これ、高分配金の投資信託が売りやすいから、わざわざ面倒くさい説明をしたくないという販売会社の意志が働いているような気がします(理解した上でこういう方針を取っているのは悪質ですが、末端の営業員は本当に理解していなかったりします)。

私も元々投資信託に関連する仕事をしていたので、一応義務だと思ってこういう説明を記事にしていますが、投資を考えている人全てが理解する日はそうそう来ないだろうな~とも感じています。

ほんの少しの人でもこの記事を読んで理解していただければ書いた意味もあるというもの。よろしくお願いします。

分配金に関するその他の記事

投資信託の「分配金」については他の記事でもまとめています。よろしければご覧ください。

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最初の頃に書いた記事だからテキストオンリーで読みずらいかもしれません。その内リライトする予定です。

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