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【3種の利回り】投資信託の利回り、配当利回り(最終利回り)、分配金利回りの違いに注意!

投資信託・ETF等
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投資信託を選ぶ際の指標に「利回り」がありますが、一言で「利回り」といっても色々なものがあります。特にここ数年で定着しつつある「分配金利回り」は何種類かある「利回り」の中でも異端で、ファンドの実力を反映していません。投資信託を選ぶ際にはご注意を。

<この記事のポイント>

投資信託の説明で出てくる

  • 利回り(騰落率)
  • 配当利回り、最終利回り
  • 分配金利回り

投資信託の運用会社勤務の経験を活かして、なるべく分かり易く解説します。

投資信託でいう「利回り」って何?

皆さんは「利回り」と聞いたら何を思いつきますか?多くの方は銀行預金などにつく「利子」の率(年率)を想像するのではないでしょうか?

しかし、投資信託の説明で出てくる「利回り」は何種類かあって、それぞれ意味が異なります。

主に使われるのは以下の3種類です。

<投資信託に関連する3種の利回り>

  • 利回り
  • 配当利回り(最終利回り)
  • 分配金利回り

それぞれの意味を理解し、自分が注目したい利回りを見て投資信託を選ぶと良いかと思います。

ただし、分配金利回りについては要注意よ!

ただ「利回り」というと「騰落率」を指すことが多い

投資信託に関して、単に「利回り」というと、その投資信託の「騰落率」を指すことが多いようです。

投資信託に関連する話の中では最もよく出てくる数値だと思います。

上記で”ようです”と曖昧な書き方をしたのには理由があって「利回り」という言葉を「騰落率」という意味で使っているのは投資信託を解説するHPだけな気がするからです。

少なくとも私が運用会社に努めていた時には投資信託の「利回り」という言葉は使ったことがありません。

この「利回り」どういう風に使われているかというと「投資信託の利回りとは?10%超えの投資方法をご紹介します」みたいなタイトルに使われていたりします(その他、「利回りランキング」なども)。

ある程度は常識で判断できると思います

上記であげた例の「投資信託の利回りとは?10%超えの投資方法をご紹介します」について考えてみようと思います。

ある程度の金融知識があれば「10%超」の段階でこの数字は「騰落率」であると判断できるはずです。

投資信託の騰落率は全て込み込みの数値

投資信託の騰落率というのは基準価額がどれだけ上がったか、下がったかを率にしたもので「分配金を再投資した基準」で算出されるのが一般的です。

この「分配金再投資基準の騰落率」は何を含んだ騰落率なのかというと、以下のようなものです(細かい例外的なものは列挙していません)

投資信託の「騰落率」に反映されているもの
  • 株や債券そのものの価格の上昇・下落
  • 株の配当金、債券の利金
  • 外国の有価証券に投資している投資信託であれば為替変動による損益
  • 通貨選択ファンドであれば為替ヘッジプレミアム、コスト
  • その投資信託の運用管理費用(信託報酬) など

要するにその投資信託が投資している有価証券の価格変動や利子・配当などを全てひっくるめた上昇・下落率の数値になります。

先ほど、ある程度の金融知識があれば「10%超」で気付けるといったのは、今時投資信託のように分散投資しつつ10%超のリターンがでるのは、この「騰落率」以外ありえないからです。

潰れそうな会社の株だったり、超インフレの新興国の債券なら10%超の配当や利子収入が出ることもあります。ただ、分散投資している投資信託で株式の配当や、債券の利金だけで年率10%はまずあり得ません(2019年10月現在)

投資信託であるとすればトルコ国債に投資する投資信託なら利金だけで年率10%以上あるわね。

「配当利回り(最終利回り)」は「騰落率」の一部

この「配当利回り(最終利回り)」がほとんどの人が最初に思いつく「利回り」なんじゃないでしょうか?

この「配当利回り(最終利回り)」はその投資信託が投資している株式の配当利回りの平均値です(債券であれば投資している債券の最終利回りの平均値)。

要するに株式などの価格変動などは考慮せず、その投資信託が投資している有価証券から年間どれだけの配当(利金)が入ってくるかという数値になります。

この「配当利回り(最終利回り)」は投資信託のデータとして電子的に開示されていないので、販売会社などのHPでランキング形式で集計されることはありません。

掲載されているのはその投資信託のマンスリーレポートなどになります(後にどの様に開示されているかを解説します)。

<リートについても配当金と呼ばれることがあります>

リートの個別銘柄それぞれが投資家に還元する利益は正式には「分配金」です。

なので、リートに投資している投資信託の利回りは「分配金利回り」というのが正確なのですが、後で説明するものと混同されるので「配当利回り」と呼んでいる運用会社が多いです。

「分配金利回り」一番の異端児

投資信託において「分配金利回り」という言葉は、端的に言うと投資家をわざとミスリードさせて投資信託を買わせようとしているとしか思えない数値です。注意して下さい!

「分配金利回り」が何を指しているかといえば、その投資信託はどの位「分配金」を出しているかを表しています。

ただ、投資信託の「分配金」って極端に言えば運用会社が「〇円出す」と決めれば出せるんですよ。上に書いた「騰落率」や「配当利回り」とは一切関係なくです。

要するに投資信託の運用成績に係わらず、高くしようとすれば出来ちゃう利回りが「分配金利回り」です。

<最近、”高”分配金利回りの投資信託は無くなりつつあります>

この「分配金利回り」が極端に高いファンドというのが数年前までたくさんありました。特にリートやハイ・イールド債券に投資する投資信託に多かったですね。

そして、販売会社は明らかに投資家をミスリードするような販売姿勢を取っていました(分配金利回りが高い投資信託が良いファンドといった煽り文句など)。

これに金融庁が怒りました。

金融は典型的な規制産業だから、お上の意向は絶対。だからあっという間に「高分配金利回り」ファンドは姿を消しました。

分配金とはどういうものか、その仕組みや正確を記事にしています。あわせて是非お読みください。

分配金利回り程おかしな指標はありません

分配金利回りがどれだけ馬鹿らしい数値かを説明するために極端な例をご紹介します。

極端な例

基準価額10,000円で毎月分配金を100円出す投資信託があるとします。その投資信託は現金を保有しているだけで何も投資していないとします。

1カ月目・・・基準価額9,900円、分配金100円(分配金利回り:100÷9,900×12=12.1%)

2カ月目・・・基準価額9,800円、分配金100円(分配金利回り:100÷9,800×12=12.2%)

12カ月目・・・基準価額8,800円、分配金100円(分配金利回り:13.6%)

分配金は出せば出すだけ基準価額を押し下げます。利回りを算出する際の分母がどんどん小さくなるから分配金利回りはどんどん大きくなっていきます。

ちょっと前までリートに投資するファンドがこんな状況だったわね。基準価額が5,000円位で毎月100円分配金を出して(分配金)利回り24%だなんて言って売ってたわ。

「分配金利回り」で投資信託を勧めてくる販売会社は信用してはいけない

上にも書きましたが「”高”分配利回り」の投資信託は「投資家に誤解を与える」と金融庁が懸念(怒っている)していることで、近年なくなりつつあります。

ただ、「分配金利回り」が低下傾向にあるとはいえ、運用会社が勝手に決めた分配金から算出された率です。この数値を参考にして投資信託を選ぶのはナンセンスとしか言いようがありません。

ちなみにこの「分配金利回り」に意味が無いことを運用会社は知っています。なので運用会社が作成した資料の類にこの言葉は一切出てきません。

使っているのは銀行や証券会社といった販売会社です(一般の投資家を混乱させようとしているんでしょうか?)。

もし銀行窓口や証券会社窓口で「分配金利回り」が高いことを理由に投資信託を勧められたら、その営業マンは明らかに「分かってない人」ですので疑ってかかったほうが良いと思います。

そんな人の説明に何%かの手数料を払うんですか?

「利回り」ってどこを見れば書いてあるの?

ではこれらの各種「利回り」ですが、どこを見ればいいのでしょうか?

実は調べるまで知らなかったんですが、私が取引しているネット証券にも「分配金利回りランキング」がありました(笑)

ここを起点に紹介しましょう。

あるネット証券会社の分配金利回りランキング

先月末(2019年5月)までの1年間では「国際アジアリート通選ルピー毎月」というファンドが「分配金利回り」14.53% 赤で囲ってある所)でトップだったのだそうです。

このファンドの詳細ページに飛びます(上の画面でファンド名称をクリック)

ファンドの詳細ページ

この販売会社のHPにはこんな感じで運用会社の月次レポート(マンスリーレポート)が張り付けてありました(赤く囲ってある所)。

ここをクリックするとファンドのマンスリー・レポートが見れます。

このファンドは通貨選択型なので一つのレポートに複数の通貨コースが出ています。その中からインド・ルピーコースを探します。

ファンドのマンスリーレポート(インドルピーコースのページ)

赤く囲ってある所が、このファンドの過去一年間の「騰落率」です。

注意書きに赤でアンダーラインを入れましたが、分配金再投資基準で算出している旨が書いてあります。このマンスリーレポートも5月末基準で作成されていますので、過去1年の期間は先ほどの分配金利回りを算出した期間と同じです。

この投資信託の場合「分配金利回り」が14.53%なのに対して「騰落率」は16.8%です。

ちなみに「分配金利回り」の方が「騰落率」より高いと、分配金を出した後の基準価額はどんどん下がっていきます。最近はこうならないように「分配金利回り」を設定するのがトレンドのようです(数年前はやたらと「分配金利回り」が高いファンドが多かったです)。

さて、「配当利回り」はどこかというと、このファンド(通貨選択型)の場合、大元のマスターファンドについて書かれているページに書いてあります。

ファンドのマンスリーレポート(マスターファンドのぺージ)

ここには”実績”「配当利回り」が記載されています。

株とかリートへ投資するファンドの場合、既に過去に出ている”実績”の「配当利回り」が書いてある場合と、企業が発表している”予想”「配当利回り」を記載している場合があります。

債券の場合はデフォルトしなければ必ず出るので”予想”ではないですが、今後出る利金の利回りが書いてあります。

注意!
注意!

株価の値上がりを積極的に取っていくというコンセプトのファンドなどでは「配当利回り」を開示していないファンドもあります。

各種利回りの何をみるのか?

このファンドの各種利回りのまとめ
  • 騰落率(1年)=16.8%
  • 実績配当利回り=4.9%
  • 分配金利回り=14.53%

意味のない「分配金利回り」は無視するとして、この「騰落率」と「配当利回り」の意味するところから考えることはいくつかあると思います。

例えば、「配当を除いた騰落率が年率で11.9%(16.8%-4.9%)あるということは、価格変動や通貨の変動で結構リスクを取ったファンドなんだな」とか、「配当利回り(4.9%)がそこそこ高いから、長期で持てば通貨の変動なんかがあってもプラスは得られそうかな?」とかですね。

ほとんど意味のない「分配金利回り」の高低で投資信託を決めるのではなく、こういった点を見ると投資信託を見る目が肥えていくと思いますよ。

そもそも全く同じ投資信託で分配頻度が異なる(年1回や毎月など)ファンドの「分配金利回り」を計算してみて下さい。同じファンドなのに全く違う数値になるのが分かると思います。

それからいくつも例外はあると思いますが、基本的に資料の類は販売会社より運用会社のものの方がためになると思います。

<販売会社と投資家の間には利益相反があります>

投資信託の販売会社と投資家では利害が一致しません。販売会社はより手数料の高い投資信託を売りたいでしょうし、投資家はその逆です。

「分配金利回り」という言葉もそうした中で生まれてきた経緯があります。

基本的に販売会社の作成した資料はそうした変なバイアスがかかったような表現が散見されますので、参考にする程度に留めておいた方が無難です。

この記事を書いた後で更に投資信託の分配金について記事を書きました。よろしければご覧ください。

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