それ、金利ではないですよ。仕組を理解してから投資しましょう(日経平均リンク債とは)

投資全般

最近このブログで資産管理(投資)をすることは良いことだけど、しっかり理解・納得をした上で投資すべきということを書きました。でも、世の中には難しい金融商品が結構身近にあったりします。

難解な商品(日経平均リンク債)を勧めてくる営業マンに驚き!

今回取り上げるのは「日経平均リンク債」なんですが、なんでこれを取り上げようと思ったかといいますと、先日(といっても数カ月前です)私の母親に証券会社の営業マンがやってきて、これを勧めてきたそうなんです(何を勧められたのか全く理解していなかったので、断片的に出てきた単語から恐らく「日経平均リンク債」なんだと推察)。

私は昔から「金融商品の営業を受けたら決断する前に絶対私に相談して」といっていたので、投資はしなかったようですが、80過ぎの老人にこんな難解な商品を勧めているということに驚きました。そもそも本人は何を勧められたのかすら理解できていませんでした(特にボケているわけではありません)。

そもそも私は以前 「【金融庁推奨!?】資産形成(投資)は当然損をすることもある」 でも書きましたが、 「理解できない投資はすべきではない」という考え方ですし、そもそも既に老後の資金に目途が立っている老人がリスクを取って資産を増やそうとする必要はないと思っているのでその営業マンには怒りすら覚えます。

日本の証券営業はお年寄りの話し相手?

私は金融業界に長くいましたが、個人営業の経験はないので実際の営業現場の雰囲気は知りません。ただ、そういう経験のある同僚なんかに話を聞くと、年寄相手の営業は基本的に「商品を理解してもらって投資」してもらうというより、話し相手になってあげてその対価として「お小遣い」として手数料を落としてもらうという感覚なんだそうです(お年寄りの立場で考えると分かるような気もしますが)。

今回私の母親の所に来た営業マンもそんな感じなんだと思います。何故なら母親は何を勧められたのか微塵も理解できていなかったからです(少なくとも説明が下手。もしくは営業マン自身も理解していない可能性あり)。

もちろん投資した結果、「たまたま儲かった」ということはあるでしょう。でも、そうなったらその儲けを含めた投資金額で別の商品を購入するように勧めてくるはずです。結局どこかで損をするのが落ちと思われます。

ちなみにこういうこともあってか、少なくとも大手証券会社の営業マンは定期的に転勤があります。あ、ちなみに証券営業マン全員がこんな風じゃないと思いますよ。大多数だとは思いますが・・・

とにかく金融庁がこれからは資産形成(投資)だといって旗を振っていても、現場がこんなんじゃ投資が主流になることはないでしょうね。

「日経平均リンク債」は債券ではなく、デリバティブです

先ほどから話題としている「日経平均リンク債」とはどのような金融商品なのでしょうか?結構メジャーな金融商品で私が使っているネット銀行でも取り扱いがあるらしく、メールで勧めてきてたりします(いくらネット銀行だからといって、こういうメールは迷惑なんですけどね)。

わざと誤認させようとしてる?

まずは具体的にどういう触れ込みで売っているのか、適当に検索してヒットした商品をご紹介します。

  • 日経平均株価連動債券
  • 償還時期や満期償還額が日経平均株価の変動により影響を受ける仕組債
  • 期間は2年、利率は年3.06%(税引前)/ 2.438%(税引後)
  • 発行体はスウェーデン地方金融公社で、格付けはAaa(Moody’s)、AAA (S&P)
  • 早期償還判定水準105%、ノックイン判定水準75%

上記は当たり前ですがウソは書いていません。でも、この商品の知識が無い人が見たらどう思うでしょうか?「日経平均株価連動”債券”」で、「利率は年3.06%(税引前)」、「格付けはAaa(Moody’s)、AAA (S&P)」ということから、元本割れリスクが低く、高い金利が得られる債券なのかな?って思いませんか?

人って理解できるところが頭に入って、よく分からないところを無視することがあるじゃないですか?上記には「日経平均株価の変動により影響を受ける仕組債」とは書いてあるんですが、「仕組債」って何のことか分からないし、債券の「債」の字が付いてるから債券なんじゃないかと頭の中で誤変換されるんですよね。

で、この商品をちゃんと説明しようとすると、上記のような箇条書きで簡単にはできません。なのでこんな風に書いてあるんでしょうが、これ穿った見方をするとわざと誤認させてるんじゃないかとも取れます(投資信託の分配金のように。分配金については「投資信託の分配金を当てにしてる方っていますか?」に書きましたのでよければご覧ください)。

そもそも日本人は金融デリバティブに抵抗感があるはず

「金融デリバティブ(派生商品)」という言葉にあなたはどういうイメージを抱きますか?恐らく多くの人は何となく胡散臭いイメージを持ってるんではないかと思います。少なくとも「難しくて理解できない」もしくは「理解する気もない」というものではないでしょうか?

この「日経平均リンク債」というのはまさにそのデリバティブを組み合わせてパッケージしたものです。実際 「日経平均リンク債」 って次から次へと出てくることから考えると売れてるんでしょうけど、そもそも日本人が喜んで買うようなものじゃないんですよね。そこから私は誤認の上で買っている人が多いんじゃないかと感じています。

どんなデリバティブなのか

メインで組み込まれているのは日経平均の「プットオプション(売る権利)」の「売り」です。「売る権利を売る」って既に意味わからなくないですか?

私も若い時に資格の勉強をしてるとき???ってなった記憶があります。業務でも関係なかったですし、自分の投資にも全く使わないのでこの記事を書くのにも時間がかかります(笑)

この「プットオプション(売る権利)」はまず「買い方」目線でこんな風に考えると分かり易いと思います。

もしあなたが日経平均という株を10,000円で買って持っていたとします。で、株価が上昇する分には儲かるから良いとして、当然下がって損失を被るのは嫌です。なので損失に対して保険を掛けたいと思いました。

具体的には1,000円以上の損はしたくないと思ったとします。そうした場合、他の誰かに「日経平均がどんなに下がっても自分の株を9,000円で引き取って下さい。その代わり保険料を支払います」という条件を引き受けてもらえば損失に対して保険がかかることになります。

この保険が日経平均を9,000円で「売る権利」であって、保険を掛ける人(この権利を持っている、買っている人)が「買い方」、保険を引き受ける人( この権利を売っている人) が「売り方」になります。

ちなみにこの保険料は今の株価と権利を行使する株価(上の例でいえば10,000円と9,000円)の差が小さくなればなるほど高くなりますし、株価の変動が大きくなればなるほど高くなります。簡単に言えば権利行使する株価まで簡単に下がりそうなら保険料は高くなります。

「日経平均リンク債」を買うということは保険を引き受けるということ

ここまでを理解すると「日経平均リンク債」がどのようなものか分かると思います。ようするに「日経平均リンク債」を買うということは、誰かの持っている日経平均が下落したときの保険を引き受けて、その保険料(オプションのプレミアムといいます)を得るということです。

そして、権利行使価格(上記の例だと9,000円)まで日経平均が下がるとノックインといって強制的に償還され、損失が決定します。

この商品はオプションの組成条件を変えることで得られる保険料(オプションプレミアム)を変えられます。あまり無茶なことをする発行会社はいないと思いますが、得られる保険料が高ければ、その分ノックインして損をする可能性が高いということになります。

単純に高い金利が得られる債券と思うと失敗しますのでご注意を。

ちょっとだけ付け足すと、「日経平均リンク債」がノックインすると利益を得られる人達がいます。日経平均を自分の意志で大きく動かすことは難しいのですが、ノックイン水準に近づいたときに最後のとどめを刺すくらいならできるので、それを狙っている人達もいると言われています。こういう点ではちょっと投資には不利な商品のような気もします。

日本人は「金利」が好き。そこを狙われています。

今回は「日経平均リンク債」を取り上げましたが、この「オプション」を使った商品というのはまだあります。例えば投資信託で「カバードコール」を利用したもの(説明資料のどこかにこの言葉が書いてあります)。

こちらは「日経平均リンク債」とは異なり、「コールオプション(買う権利)」の「売り」です。簡単に説明すると、株価上昇で得られる利益を放棄する代わりに保険料を得るというものです。

共通するのは金利(のようなもの)が得られるということです。日本人は株などの値上がり益を得るのは「博打であり悪」と感じていて、金利を得るのは「良いこと」と感じる人が多いので、こういう商品がたくさんあります(証券会社はホントに誤認させてないの?って思いませんか?)。

オプションを駆使して利益を得ようとすることは別に悪いことではないと思いますが、どういうものか理解して投資するのと、誤解した上で投資するのでは大きな開きがあると思います。

下手をすれば自分の人生を変えてしまうかもしれない大切なお金の運用先です。少なくともどんな商品なのか理解したうえで投資することをお勧めします。

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