ブル・ベアファンドが「減衰」する仕組み

投資信託・ETF等

投資信託で良くあるブル・ベア型のファンド。買ったことがある人なら、購入時に”ブル・ベアファンドは減衰するから注意”という説明を受けたり、資料で見たりしたはずです。この意味理解していますか?ETFでも日経225の2倍に連動するブル・ベアETFが売れています。ETFの場合は投資信託のような説明もありません。念の為、おさらいしておきましょう。

ブル・ベアファンドは長期保有すると大きく「減衰」する。

ブル・ベア型のファンドはそのファンドを運用する運用会社側からすると厄介なファンドです。何故なら長期運用していると基準価額がどんどん下がっていき、どこかのタイミングでファンドを償還させて、また作り直さないといけないからです。

最初に具体例をあげてみます。

ブル・ベアファンドの減衰例

野村アセットマネジメントが運用している「野村ハイパーブル7」、「野村ハイパーベア7」の基準価額を見てみます。

この投資信託は、ハイパーブルの方が日経平均の概ね2.5倍の値動き、ハイパーベアの方が日経平均の概ね2.5倍反対の値動きを目指して運用されています。

このファンドの2019年8月19日現在の基準価額は以下のようになっています(両ファンド共、2019年2月27日に10,000円でスタートしています)。

ハイパーブル:8,949円

ハイパーベア:10,364円

あれ?片方は364円のプラスだけど、もう片方は1,051円もマイナスでアンバランスね。

それが「減衰」の結果なんだよ。もっと長く運用していくと両方とも1万円以下って状態になることもあるよ。このファンドは名前が示しているように、同じファンドを7回設定し直してるみたいだね。

上記のファンドは設定から6カ月ほどしか経っていませんが、「減衰」が起こっています。この原因を以下で解説していきます。

ブル・ベアファンドの「減衰」の仕組み

実際にブル・ベアファンドがどう運用されているかを見るのが一番分かりやすいと思いますので、そういった説明をします。

ちなみに、「ブル」は牛が角を下から上に突き上げていく様を、「ベア」はクマが爪を上から下に振り下ろす様を例えています。

だからブルは上昇、ベアは下落の意味で用いられるわよ。

最初にブル・ベアではない1倍のファンドの説明

ここでは比較のために、日経平均に100%連動するファンドを考えます。

通常ただ連動するだけのファンドであれば先物はほとんど使いませんが、ブル・ベアファンドと比較するために、日経先物を100%利用したファンドと想定します。

日経平均が20,000円⇒20,500円⇒20,000円という風に変動したときを考えてみます。

実際のファンドは日々設定解約があったり、先物の売買手数料があったり、信託報酬が抜かれたりするので、正確に言うとこうはならないけど、理屈を考える上でシンプルにしています。

ファンドの当初の純資産が1億円あり、日経先物を1億円分(5,000枚)組み入れてファンドはスタートします。先物組入比率は100%になります。

そうすると、2日目に日経平均が20,500円(前日比+2.5%)になれば、先物も同じだけ変動しますから、ファンドの純資産も1億250万円と2.5%増えます。

3日目に日経平均が20,000円(前日比▲2.44%)になれば、先物も同じように変動し、ファンドの純資産は1億円になり前日比では2.44%減少します。

日経平均に1倍で連動するファンドは、日経平均が元の20,000円に戻ると、純資産も元の1億円に戻ります。

まぁ当たり前の話よね。

本題。2倍ブルファンドの場合

2倍のブルファンドなので、スタート時点でファンドの純資産の2倍の額の日経先物を保有しています(先物組入比率200%)

説明のために表の中に①、②、③と数字を振ってるわよ。

①日経平均株価が20,000円から20,500円に2.5%上昇しました(先物も同様に変動しました)。

②日経平均が2.5%上昇したので、組み入れていた日経先物も2.5%上昇し、2億500万円になりました。

③先物の含み益は500万円ですから、ファンドの純資産は500万円増えて1億500万円になりました。ファンドの純資産の変化率は前日比で5.0%なので、日経平均の変化率の2倍になっています。

この変動の結果、先物組入比率は195.2%となってしまいました。このままでは翌日のファンドの純資産の変動率が日経平均の変動率の2倍にならなくなってしまいます。

⑤よって、日経先物を244枚買い足して組入比率を200%に調整します。

これをリバランスといいます。ファンドは通常大引け間際にリバランスに関連する取引をしています。

⑥翌日、日経平均が2.44%下落しました。日経先物も同様に2.44%の下落です。

⑦そうするとファンドの保有している先物も2.44%下落して2億487万円になりました。これは前日比で512万円の損失です。

⑧よってファンドの純資産は前日比512万円減少し、9,987万円(前日比4.88%下落)となります。これは日経平均株価の下落率2.44%の2倍という事になります。

あれ?日経平均は元に戻ったのに、ファンドは減ってるわよ。

変動率を日経平均の2倍とするためにはリバランスが必要です。でも、リバランスをすることで組み入れた先物の枚数は当初とは変わってくるんだよね。なので、日経平均が戻ってもファンドの純資産は戻らないんだ。

ベアファンドはマイナス1倍でも減衰する。

同様にベアファンドも見てみましょう。今度はマイナス1倍のベアファンドを想定し、スタート時点ではファンドの純資産1億円に対して、日経先物を1億円”売り建て”ています(先物組入比率は-100%)。

信用取引をしていない人には難しいかしら?

①日経平均株価が20,000円から20,500円に2.5%上昇しました(先物も同様に変動しました)。

②日経平均が2.5%上昇したので、組み入れ(売り建て)ていた日経先物も2.5%上昇し、1億250万円になりました。

先物は売り建てているので、250万円の含み損ですから、ファンドの純資産は250万円減って9,750万円になります。ファンドの純資産の変化率は前日比で▲2.5%なので、日経平均の変化率のマイナス1倍になっています。

④この変動の結果、先物組入比率は-105.1%となってしまいました。このままでは翌日のファンドの純資産の変動率が日経平均の変動率のマイナス1倍にならなくなります。

⑤よって、日経先物を244枚売却して、組入比率を-100%に調整します。

⑥翌日、日経平均が2.44%下落しました。日経先物も同様に2.44%の下落です。

⑦そうするとファンドが売り建てている先物も2.44%減少します。ただ、売り建てなので、この減少分237万円は利益になります。

⑧よってファンドの純資産は前日比237万円増加し、9,987万円(前日比2.44%上昇)となります。これは日経平均株価の下落率2.44%のマイナス1倍という事になります。

こちらもブルファンドと同じ理由で日経平均が20,000円に戻ったのに、ファンドは戻りません(減ります)。

ブル・ベアファンドの減衰は対象指数が上下に変動したときに起こる

期間としては短い例になりましたが、仕組みはご理解いただけたでしょうか?

基本的に対象指数が上昇・下落を繰り返せば繰り返すほどブル・ベアファンドは減衰していきます。通常日経平均などの指数はずっと上昇したり、下落したりするものではありませんので、ブル・ベアファンドは必ず減衰するといって良いでしょう。

また減衰する率は対象指数の変動率によって変わるのですが、ファンドの保有期間が長ければ長い程減衰する幅は大きくなると言って良いでしょう。

実際のブル・ベアファンドは徐々に減衰して基準価額が小さくなっていくと償還され、また新しいものが設定されています。

運用会社のHPにいって過去に召喚されたファンドを調べれば過去に償還されたブル・ベアファンドがたくさん出てくるわよ。

ブル・ベアファンドはそれを繰り返すから、運用会社でも作っている所は限られるけどね。

注意!

ちなみに、「減衰」というと上記の例のようにファンドの基準価額が減少するという意味だけに思われるかもしれませんが、そうではありません。

例えば、日経平均が20,000円の時に2倍のブルファンドを買ったとして、その後日経平均が上下しながら25,000円(25%上昇)になったとします。その時ファンドは50%の上昇とはなりません。例えば40%とかに留まります。これも「減衰」です。

ETFでも同じようになります。

ちなみにこれはETFでも全く同じで、「日経レバレッジETF」や「日経ダブルインバースETF」でも同じことが起きます。

ETFは購入時に目論見書を見ることが無いので、もしかしたら知らずに買っている人がいるかもしれませんね。

何故か分かりにくい運用会社の説明資料

上記の私の説明が分かりやすいかどうか私では判断できないのですが、少なくとも各運用会社の説明資料では私はピンとくることが出来ませんでした。

まぁ実際エクセルで私が作ったような表を自分で作ってみて、数値をあれこれいじってみるとすぐ理解できると思います。

ブル・ベアファンドをよく購入される方は一度やってみてはいかがでしょうか?

ちなみに私はここ数カ月、「日経ダブルインバースETF」を継続保有したため、減衰しまくって日経平均が自分の目標値を大きく下回ったのに利益が出ないという事を体験しました(笑)

コメント

タイトルとURLをコピーしました