基準価額10,000円超の投資信託は「割高」?

投資信託・ETF等

私は金融業界にそこそこ長くいたのですが、その中で投資信託に関する不思議に思うことが2つほどありました。一つは投資信託は実績のない新しいものの方が売れるということ。そしてもう一つは基準価額が1万円を超える投資信託をそれだけで割高と考える人がいることです。

投資信託の基準価額は絶対水準をみるものではない

少し前に「AI(人工知能)が運用するAI投信は発展途上?」という記事の中で、日本人は新しい物好きだから、投資信託も運用実績がある古い投資信託よりも新しい投資信託の方が売れるといったことを書きました。

これはこれで不思議な話ではあるのですが、これに関連してもう一つ不思議なことがあります。それは投資信託は基準価額が10,000円に近い方が売れるんだそうです。

要するに新しいファンドってこと?

私は販売会社の営業現場の方々とお話しする機会がありませんでしたから、この辺の話は全部本部サイドから聞いたお話です。

基準価額が10,000円を超えてると”割高”なの?

基準価額の絶対水準から読み取れる情報は少ない

基準価額が10,000円を超えている・・・例えば15,000円だったとしましょう。通常投資信託は10,000円からスタートするので50%程値上がりしています。

これだけの情報からあなたは何を思いますか?

運用期間にもよるけど、優秀な投資信託なんじゃないの?

そうだね。そういう風な感想が最も妥当だと思うよ。

実際基準価額が15,000円という数値だけから読み取れる情報量はほとんどありません。

でも、この基準価額が15,000円という数値をみて、「割高な投資信託だから買うのは遠慮するわ」ということを言う投資家も多いのだそうです。

反対に10,000円を大きく下回っている投資信託は「運用が下手そう」といって敬遠されるようです。

その他の情報を合わせて考えれば「割高」なケースも当然ありますが・・・

確かに基準価額が15,000円の投資信託が「割高」になってるケースはあるかもしれません。例えば1週間くらいで10,000円から15,000円まで急激に上がったといったときは「割高」と考える人の気持ちは分かります。

また、もっと定量的に評価したいのであれば、その投資信託が実際に組み入れている金融商品のバリュエーションをみるという手段もあります。その結果やっぱり「割高」だったね。という事はあるかもしれません。

組み入れ有価証券の明細は運用報告書(全体版)やマンスリーレポートに記載されているわよ(マンスリーレポートは全銘柄を載せていないケースも多いです)。

まぁ株を組み込んでいる投資信託で、組み入れ銘柄の予想PERとか実績PBRなんかを載せているレポートは稀なので、一銘柄づつ自分で調べることになると思いますが。

基準価額の絶対水準にそれほど意味はありません

例えば日経平均株価に連動する2つの投資信託の基準価額を考えてみます。

一つは約8年前の2012年1月(日経平均は8,800円)に設定されたAファンド。

もう一つは新ファンドで2019年8月(日経平均は20,500円)に設定されたBファンド。

現時点の基準価額はAファンドが23,300円、Bファンドが10,000円になります。

AファンドはBファンドに比べて割高でしょうか?

両ファンドとも日経平均に連動してるなら同じよね。

この場合、連動対象の日経平均株価自体が「割高」、「割安」ということは考えるべきではありますが、投資信託の基準価額の絶対水準を見てこっちのファンドは「割高」と考えるのはナンセンスです。

この例は両ファンド共、日経平均株価に連動するという分かりやすい例えなのですんなり理解できると思うのですが、これがアクティブファンドとかになると分からなくなっちゃうみたいですね。

投資信託の基準価額はファンド設定日を10,000としたただの指数

投資信託の基準価額というのはそのファンドの設定日を10,000円と決めただけのものです。なのでずっと昔に設定された投資信託の基準価額は10,000円を大きく上回っていることも多いです。でも、それだけをもって「割高」と考えるのは早計過ぎます。

逆にそれだけみて「良いファンド」と考えるのはもっと危険ですが・・・

投資信託は何を見て評価すべきなのかは「投資信託は何をどう評価すれば良いのか?」に書きましたのでよろしければご覧ください。

「割高」、「割安」を考えるのであれば、投資信託の基準価額ではなく、その投資信託が組み入れている金融商品そのものが「割高」なのか?「割安」なのか?といったことを注視しましょう。

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