投資信託は何をどう評価すれば良いのか?

投資信託・ETF等
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よく「損したからあの投資信託はダメだ」とか「儲かったからあの投資信託は良いファンドだ」という評価を聞くことがあります。でも、世の中には絶対収益を追求している投資信託ってほとんどないんですよ。投資信託は何を目指して運用されているのか正しく理解、評価しないと投資判断を誤ることになるかもしれません。

この記事のポイント
  • 投資信託には目指すべき運用成果が設定されている。
  • 多くのアクティブファンドはプラスの成果を目指している訳ではなく、対象指数に相対的に勝つ運用をしている。
  • この辺を正しく理解、評価しないと誤った投資判断をする可能性が高くなる。

投資信託の目指すべき運用成果(ファンドコンセプト)がどこに書いてあるのか、どう評価すべきなのかといったことを解説します。

実はこの記事、ちょっと前にできたAIファンドの評価について書こうと思ったら、この辺りを先に説明しないとダメだな~と思って書いたものです。

投資信託の評価方法

何かを評価するには基準がいります。

投資信託の良し悪しを評価するのにも、評価基準に対してどの位良かった、悪かったという評価をする必要があります。ただ、その評価基準は投資信託によって異なります

実はこの評価基準の認識が個人投資家と運用会社側で大きく違うケースが多いんです。

評価基準:投資信託が目指している運用成果

そもそも投資信託の概念って根本は株式会社と同じなんですよね。

投資信託は「〇〇〇を投資対象にして、△△△という運用手法で、×××の運用成果を目指して運用します」と、ファンドのコンセプトを明らかにして、それが儲かりそうだと思う投資家からお金を集めて運用し、利益を配分する仕組みになっています。

だからこの最初に決めたコンセプトを途中で変更することは基本的にありません。どうしても変える必要がある場合は株式会社と同様に投資信託も結構大変な手続きが必要です。

このファンドコンセプトの中の「×××の運用成果を目指して運用します」という部分が投資信託が目指している目標よ。

運用成果の話の前に

上記の通り、投資信託には目指している運用成果があります。

しかし、「日本株に投資して年間10%の値上がり益の獲得を目指します」という投資信託が、実は米国株に投資していて結果として10%の値上がり益を獲得したとなったらどうでしょう?

投資家たちは「結果オーライだから問題なし」とはなりませんよね?

あくまでも投資対象や投資手法というルールに縛られた上でどれだけの投資成果を上げられるかが投資信託の目指すものなのです。

ということなので、投資信託を評価したり、その評価を元に売り買いするのにはファンドコンセプトの理解は絶対条件なんです。

ファンドコンセプトはどこに書いてあるの?

上記のように投資信託には「この投資信託はこういった運用をして、こういう投資成果を目指しますよ」という決まりがあります。それは何でどこに書いてあるのでしょうか?

信託約款

運用会社からすれば最も重要なものなのですが、投資家にとってはまず読んだことが無いであろうどうでもいいものです。

信託約款は、その投資信託のファンドコンセプトの根幹が書いてあるのですが、根幹過ぎてあまりにざっくりしすぎていて、読んでもどのような投資信託かは分かりません

色々書いてある中で運用に関係するものだけを抜粋・意訳してみます。

ちなみに信託約款は「請求目論見書」の最後についてるわよ。

  1. 信託期間・・・いついつになったら償還するよ
  2. 投資対象・・・有価証券、デリバティブ、約束手形、金銭債権などに投資しますよ
  3. 運用の基本方針・・・有価証券の組み入れは高位を保ちますよとか、株式への投資に制限はかけませんよといったざっくりしたことが書いてあります
  4. 信託報酬率・・・このファンドの信託報酬率は〇%ですよ

実際に読んでみれば分かりますけど、約款だけではどんな投資信託なのかは分かりません。約款は「この投資信託は法律にのっとって運用されていますよ」ということを表明しているにすぎないんですね。

信託約款に違反してしまうと大変だから、信託約款は物凄く広く定義しているという側面もあるわね。

約款違反すると、金融庁に事情説明、販売会社に謝罪&説明、販売会社を通じて投資家へお詫び&説明書面の送付、約款違反したことにより損失が発生した場合はその補填と、運用会社内は修羅場と化します。

交付目論見書

交付目論見書は投資家が投資信託を買う時に絶対に読まなければならない法定書面です。販売会社側からすれば、投資家に一通り説明しないとその投資信託を売ってはいけないという代物です。

なので投資信託にとって重要なことは交付目論見書に書いてあるんですが、よく読んでいない人が大多数なのではないでしょうか?

ただ、ここにファンドコンセプトが書いてあります

また抜粋、意訳して書きます。

交付目論見書に書いてある主な事項
  • ファンドの目的・・・「株に投資して値上がり益を取りに行きます」、「債券に投資して金利を取りに行きます」など
  • ファンドの特色・・・「AIによる投資判断を元に運用します」、「日経225(ベンチマーク)を上回る投資成果を目指します」など
  • 投資リスク・・・「株価が下落したら損するよ」、「投資してる会社が潰れたら損するよ」など
  • 運用実績・・・過去の運用実績はこんな感じでしたよ(グラフ付き)
  • 手続き、手数料・・・販売手数料や信託報酬率は〇%ですよ

この交付目論見書の「ファンドの目的」と「ファンドの特色」に書いてあることがこのファンドがどういう投資をして、どういう投資成果を目指しているかが分かる記載になります。

投資信託を購入した投資家はこのファンドコンセプトを理解した上で、同意して購入したことになっています。

結構な割合の人が理解していないみたいだけどね。

実際どのような投資成果が目標として設定されているか?

投資信託が目指している投資成果は様々ですから実際は交付目論見書を読む必要があります。

ただ、ファンドの種類でざっくりと場合分けはできます。

パッシブファンド

例えば「日経225に連動する投資成果を目指します」というファンドコンセプトの投資信託です。

こういう目標の投資信託は、いかに連動対象の指数と同じ動きを投資信託で実現するかということを目指しています。

なので、この手のファンドの評価は連動対象指数と誤差(トラッキングエラーといいます)なく運用できれば100点という評価になります。

実際はどんなにうまく運用しても信託報酬率分は下振れしてしまいます。

アクティブファンド

例えば「日経225を上回る投資成果を目指します」というファンドコンセプトの投資信託です。

こういう目標の投資信託は、いかに対象指数(ベンチマーク、参考指数などといいます)を上回るかということを目指していますから、対象指数が10%下落したら投資信託は8%の下落に抑えられればOKとなります。逆に対象指数が10%上昇したら、投資信託は8%上昇してもそれは不十分という評価になります。

アクティブファンドでもこの辺が明確に書いていないものも結構あるのよね。

対象指数との”相対的な”運用成果を目指すアクティブファンドは個人投資家の評価軸とギャップが大きい形態だよね。

絶対収益型ファンド

「市場の状況に関係なく収益の獲得を目指します」とか「絶対収益を追求します」というファンドコンセプトの投資信託です。

必ず先物や個別株の「売り建て」が入ってくるので、ファンドの仕組みが難しくなります。それ故、普通の投資信託では絶対収益型のものはあまりありません。

ただ、ファンドの運用成績がプラスならOK。マイナスなら不十分という評価になりますからその辺りは個人投資家と評価軸が一致しやすいと思います。

いつも思うんですが、「売り建て」ってそんなに理解しにくいのかな?

信用取引とかしたことない人にとっては難しいんじゃない?

何故投資信託を正しく理解し、評価する必要があるのか

こんなときあなたは投資信託をどう評価しますか?

例えばあなたが日本株のアクティブファンドを購入しようとある投資信託に注目したとします。そのファンドの運用目標は「日経225を上回る投資成果を目指す」となっていました。

その投資信託の過去の実績がこのようになっていたとします。

  • ファンド設定~ 1年目・・・+5%(同期間、日経平均は+6%)
  • 2年目・・・・・・・・・・+10%(同期間、日経平均は+15%)
  • 3年目・・・・・・・・・・+3%(同期間、日経平均は+7%)

実は投資信託自体の騰落率は交付目論見書に掲載されているんですが、比較対象の指数は同じように出ていないことが多いんです。

こういう数値は「交付運用報告書」に載ってるわよ。

あなたはこのファンドをどう評価しますか?

評価A

毎年プラス収支で3年間のパフォーマンスが合計18%も上昇している優秀な投資信託

評価B

運用目標である日経225に対して3年で10%も負けてるダメな投資信託

正解は当然Bよ

投資信託の評価を適切にしないと投資判断を誤るかも

この例の場合、3年間で日経平均は28%上昇しています。それに対して投資信託は18%上昇に留まっています。

この投資信託がダメだと正しく評価できていれば、直近の3年はたまたま相場が良かったから絶対収益こそプラスだったが、これならパッシブファンドを買った方が良いという投資判断もできますよね?

逆に「この投資信託は常にプラス収支がでている優秀なファンドである」と誤った評価をしていたら、今後市場は下がっていきそうという見通しの元でも、「常にプラスを維持している投資信託だから買っておいて問題ないだろう」という誤った投資判断をしてしまうかもしれません。

そもそもこういった投資信託のファンドマネージャーは、相場が下落しても自分の投資信託の収益はプラスを維持するといった目的意識で運用はしていません。

運用している人が考えてもいない成果を期待するってナンセンスよね。

投資信託を正しく理解、評価してから投資しましょう

投資の世界はかなり理詰めの世界ではあります。ただ、結果は理屈に合わないことも多々あります。

過去の運用成果が悪い投資信託が翌年は物凄くいい成績を収めるという事も当然あります。なので、上記のようにファンドを正しく理解、評価したうえで投資をしたからと言って絶対に得をするかといえばそうではありません。

得をする可能性が上がるといった感じかな?

ただ、勝っても負けても納得のいく結果が得られるのではないでしょうか?

本当は絶対収益型ファンドをたくさん作ればこのような評価のズレは発生しないのですが

まぁ確かに「プロなら絶対収益を追求するべきだ!」という風に個人投資家が思う気持ちは私も分かります(金融会社に勤めていた時は良く思いました)。また、交付目論見書をよく読んでいない人が投資信託はプロが運用しているのだから、「相場が下がろうがプラスのリターンを出してくれるはずだ」と誤解している気持ちも(多少は)分かります。

でも、そうしたニーズに合わせて絶対収益型の投資信託を作っても「説明が難しい」から売れないんですよ。

「売れない」というのはニーズが無いということ・・・ではないんですよね。絶対収益型ファンドに関しては理解が得られないから売れないんです。

実際はそういう投資信託が求められているはずなのに売れないって結構もどかしかったんですよ。

まぁセミリタイアしちゃったので既に他人事ですが

最初に触れたけど、この記事を前提に次はAI投信の評価なんかをしていきたいと思ってます。

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