古事記に記載されている前半部分(神武天皇の前の時代)は神話とされています。神話はいわば物語なのだから関連した場所や施設は存在しないはず・・・なのですが、ちゃんと系統だってあるんですよね。
邇邇芸命⇒火遠理命(山幸彦)⇒鵜葺草葺不合命にまつわる神社
地上に降臨した天照大神の孫(邇邇芸命)から神武天皇までは3世代あります。
その3世代の神々に関連の深い神社を回ってみました。
木花神社
地上に降臨した邇邇芸命は結婚後、あまりに懐妊が早かった木花之佐久夜毘売を疑いました。
それに対して木花之佐久夜毘売は、出産小屋に火をつけて出産し、生まれてくる子供が邇邇芸命の子である事を証明しました(神の子なら炎の中でも無事生まれるはずから)。
その場所が木花神社です(名称はやはり木花之佐久夜毘売から取られたのでしょう)。
この辺りの古事記の内容をまとめた記事は過去に書きましたので興味のある方は見て下さいね。
<主祭神>
- 邇邇芸命
- 木花之佐久夜毘売
木花神社への行き方
住所は宮崎県宮崎市熊野9508
木花神社はこじんまりした神社です。現時点では私が使っているYahooのカーナビアプリだと検索しても見つかりません(上記の住所を直接入力しようとしても番地が出てきません)。
現地ではGoogleマップを併用して向かいました(Googleマップだと検索できます)。
私は車で向かいましたから、ネットの情報を引用すると、
- (バス)木花駅前から白浜or青島行きで桜川下車、徒歩3分
- (車)宮崎駅から約30分、宮崎空港から約20分
木花神社は小高い丘の上にあり、かなり狭く、かつかなり急な坂道を上った先にあります(駐車場はその途中にかなり小さいものがあります)。恐らくそれほど多くの人が訪れる神社では無いと思いますが、すれ違いが発生すると結構厄介そうな道でしたね。
参道
車でかなり急な坂道を登ってきたのですが、その先にも長い階段がありました。
鳥居
拝殿
見ての通り、かなりこじんまりとした神社ではあります。
境内
拝殿に向かってすぐ左手はこんな景色が広がっています。小高い丘の上にある神社なので見晴らしは素晴らしかったです。
霊泉桜川
生まれた三皇子の産湯に使ったとされる霊泉だそうです。こちらは駐車場のすぐ側にあります。
ここでまたしても下調べ不足が露呈してしまいました。
木花之佐久夜毘売が火をつけて出産した場所である無戸室(うつむろ)の跡地を見てくるのを忘れてしまいました(というかそんな跡地があることを知りませんでした)。
都萬(つま)神社
都萬神社は木花之佐久夜毘売が住んでいた(子育てをした)場所と伝わっています。
神社の名前の都萬(つま)は邇邇芸命の「妻」を意味しているという説もあるそうです。
<主祭神>
- 木花之佐久夜毘売
都萬神社への行き方
住所は宮崎県西都市大字妻1番地
都萬神社は神社を中心として大きな公園のようになっているので、地図上でも見つけやすくなっています(上記の木花神社とも近いです)。
公式HPでは、東九州自動車道西都ICから3㎞(車で約10分)とあります。
敷地が広く、駐車場を探すのに若干苦労しました。
これを書くために調べてたら、鹿児島にも同名の神社があるみたいですね。
鳥居
私が訪れた時は本殿などが改修中でしたので、拝殿や本殿の写真は省略します。
手水舎
千年楠の洞洞木
「夢かなう 幸せ招く 願い叶う 木洞」とされている洞洞木。
案内板には「入口の前で一礼し、願い事を心の中で申しつつ木洞を潜り抜け終わって一礼してください」と書かれています。他の案内板によると、こちらは出口で、入り口はこの写真の裏手になるようです。
他に参拝客がいなかったので私も潜っておきました(身長180cmでも普通に潜れる大きさでした)。
日本酒発祥の地!?
こちらの神社は「日本清酒発祥の地」とされているようです。
なんでも、木花之佐久夜毘売が子育てする際、母乳が足らなくなってしまった時に甘酒を作って代わりに飲ませたという話が残っているそうです。
赤ちゃんにお酒飲ませて大丈夫なんでしょうか?
まぁ神様だから。
青島神社
青島神社は邇邇芸命と木花之佐久夜毘売の子供の一人である火遠理命(山幸彦)とその奥さんの豊玉毘売を祀っています。
火遠理命は兄の海幸彦の釣り針を探しに海の神様のお屋敷に行き、そこで豊玉毘売と出会い結婚します。その後住んだのが青島神社という訳です。
という流れから当然この神社は海の近くという事になります。
ちなみに、夫婦の神様を祀る神社は大抵縁結びの神社という事になるのですが、ネットでは「女子力アップ」といった若い女の人を呼び込むような謳い文句が多いです。そんなんで若い人が参拝に来るのかな?と疑問に思っていたのですが、ここは多かったですね。
<主祭神>
- 火遠理命
- 豊玉毘売
- 塩筒大神(潮流を司る神。火遠理命に海の神様のお屋敷に向かうことを勧めた神様)
青島神社への行き方
住所は宮崎県宮崎市青島2-13-1
公式HPによると、
- (電車)JR日南線青島駅下車、徒歩約10分
- (車)宮崎ICから国道220号を日南方面へ約13km(15分)、宮崎空港から約15分、宮崎駅から約25分
ただ、青島神社には駐車場がありません。車で訪れる時は民間の有料駐車場を利用することになります。
そしてこれが初めて行くと分かりずらいんです。いかにも観光地って感じの所に客引きのような人が何人か立ってるんですが、それが駐車場への案内人なんです。普通観光地の駐車場って一目でそれとわかる程広いですが、ここのは土産物屋の5台位しか止められない様な駐車場しかないようです。
私が利用したのは軽自動車で良かったと思えるような狭い路地の先にある6台位しか止められない駐車場でした(500円)。ちなみに土産物屋で3,000円分品物を買うと駐車場代はかからないそうです。
参道
神社に駐車場が無いのもうなずけますよね?
青島は文字通りの島で、浅瀬に橋が架かっていて渡れるようになっています(この橋は歩行者専用です)。
そしてこの島の周囲の地形が特殊で「鬼の洗濯板」といわれるこのような姿をしています(地層が云々という説明は省きます)。
写真は撮っていませんが、島に向かって左側はリゾートビーチが広がっています。時期(10月)的に海水浴客はいませんでしたが、サーフィンを楽しむ人が沢山見られました。
という訳で、この神社は若い人の参拝客が多かったんです(参拝というより観光って感じだけどね)。
入り口
何となく南国感が漂う不思議な風情が感じられますね。
手水舎
神門
南国感を演出しているのは建物の鮮やかな色というより、植物のようですね。
神社の境内にヤシの木が生えてるのは始めてみました。
拝殿
女性神を祀る神社だからか色彩が艶やかですね。
ちなみに境内社も多くあるし、占い・願い事成就のアトラクション的なものもありました(人が多かったから写真は撮りませんでした)
鵜戸神宮
火遠理命と豊玉毘売が結婚して住んだのが上の青島神社であれば、2神の子供が生まれたのが鵜戸神宮です。
その子供の名前が日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)です。神武天皇のお父さんになりますね。
それにしても長い名前ね。
一般的には「うがやふきあえずのみこと」だけど、それでも長いよね。ちなみに邇邇芸命も本当は天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命(あめにぎしくににぎしあまつひこひこほのににぎのみこと)なんていう呪文のような長い名前なんです。
<主祭神>
- 日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊
鵜戸神宮への行き方
住所は宮崎県日南市大字宮浦3232
公式HPによると、
- (バス)JR伊比井駅から路線バス(日南行・飫肥行・都井岬行)で20分、鵜戸神宮にて降車して徒歩約10分
- (バス)JR油津駅前バスセンターから路線バス(宮崎駅・空港駅行)で約20分、鵜戸神宮にて降車して徒歩約10分
- (車)宮崎市内から国道220号線で約60分
私は車で向かいましたが、国道から神社に向かう道(約1km)が結構狭く、すれ違い時にかなり長い事バックして避けたりといったことが多発しました。私が行ったのは平日昼間の人の少ない時間だったのにそんな感じだったので、人が多い休みの日なんかはかなり大変かもしれませんね。
そうそう、同じ宮崎県に鵜戸神社という神社もありますからカーナビなんかに行き先をインプットする時は気を付けて下さいね。
ここは鵜戸神宮よ。
神社全景
海岸線の崖の上に立っている感じが分かりますでしょうか?
神門
楼門
青島神社の時は女性神が祀られてるから色鮮やかなのかと思いましたが、この鮮やかさは南国故みたいですね。
手水舎
他の建造物に比べ何故か地味な手水舎。現在は使用不可でした。
拝殿手前
鵜戸神宮は駐車場から拝殿まで結構歩きます。そして拝殿手前はこんな感じの崖っぷちになっていて、波の音もかなり大きく聞こえます。
見た目だけだと山口県の元乃隅神社に似た風情です。まぁ歴史や由緒は当然こちらの方が遥に上です。
人が多く集まってるのは「運玉」を投げているからね(願い事をかなえるおまじないみたいなものです)。
拝殿
洞窟の中に拝殿があるというのは珍しいですよね。風情としては天岩戸神社の「天安河原宮」みたいな感じでした。中は暗くて上手く写真が取れていなかったので省略します。
お稲荷さん
境内社に鵜戸稲荷神社がありました。千本鳥居もあり、ますます元乃隅神社は鵜戸神宮を模して作ったのではないかなんて思っちゃいますね。
吾平山陵に続く道
鵜戸神宮の主祭神である日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊のお墓がある速日峯(はやひのみね)頂上に通じる道がありました。
写真だと読めないと思いますが「スズメバチに注意」と書いてありました。
結構距離もあるからどうしようかと思いましたが、スズメバチを口実に諦めました。
結構参拝客もいたのに登って行った人は一人も見かけなかったしね。
後記
初九州旅行で回った神社の紹介はこれでラストになります。
アクセスの少ない記事を立て続けに書くとブログ全体のアクセスにも悪影響がありそうなので、なるべくまとめるようにしたかったのですが、11神社を4記事にしかまとめられませんでした。
ただ、神社巡りも今回訪れた青島神社や鵜戸神宮の様に、景色が美しいという理由だけで向かうのに比べ、古事記の物語に沿って背景を思い浮かべながら回るのでは味わいがかなり変わってきます。
そういう意味では神話の故郷といわれる宮崎(九州)は興味深い神社が多く、とても楽しかったですね。
まだ見逃してる神社も沢山ありそうです。
まだ九州には何度か行くかもしれません(次は食べ物も目当てにしたいわね)。
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