ようやく古事記とその話の中に出てくる場所なんかに関連した神社のまとめが終わります。アクセスはかなり少ないので、皆さんの関心は薄いようです。なので記事自体が自分の為のまとめみたいになってしまいました。いつか取り上げた神社を一回りしてみたいものです。
古事記が最も言いたいこと・・・天皇家はアマテラスの子孫
ご存じの方も多いと思いますが、古事記は第40代の天武天皇が発案し、43代元明天皇の時に完成した「歴史書」という側面があります。言い換えれば、今の天皇家が日本を治めるようになった経緯とその正当性をもっともらしく書いたものです。
しかもそれまであった歴史書の類は乙巳の変(蘇我入鹿が暗殺された事件)で焼けてなくなってしまっています。
そういった背景から最終的にできたメインストーリーは「現在の天皇家はアマテラスの子孫」という風にまとめられています。
始まりが神様ですから、どの辺までが創作された「神話」で、どの辺から実際の「歴史書」なのかというのはよく分からないみたいですね(今でも初代の神武天皇から全て実在したという説もあれば、第〇代以降から実在するといった説まで様々あるようです)。
今回はこのアマテラスの子孫が地上にやってきて天皇家につながっていくという一番重要なお話になります。
天孫降臨
そういえばアマテラスって独身じゃなかったっけ?
独身だけど子供はいるよ。シングルマザー的なものじゃなくて、イザナギが禊をしたらアマテラスが生まれたというのと同じような感じで5人の子供がいます。
大国主神から国を譲り受けた天津神は地上に支配者を送り込みます。その時送り込まれたのがアマテラスの孫(長男の子供)である邇邇芸命(ニニギノミコト、以下ニニギ)です。
「天孫降臨」って語感がカッコいいですよね。この「天孫」がアマテラスの孫を指していて、その神様が地上に「降臨」されたということですね。
<ニニギと一緒に降臨した神様達(8柱)>
- 思金神(オモヒカネノカミ)・・・天岩戸作戦の参謀。
- 天児屋命(アメノコヤネノミコト)・・・天岩戸の前で祝詞を捧げた。
- 天宇受賣命(アメノウズメノミコト)・・・天岩戸の前で踊った神様。
- 伊斯許理度売命(イシコリドメノミコト)・・・三種の神器の一つ「八咫鏡」を作った神様。
- 玉祖命(タマノオヤノミコト)・・・三種の神器の一つ「八尺瓊勾玉」を作った神様。
- 天手力男神(アマノタヂカラオノカミ)・・・アマテラスを岩戸から引っ張り出した神様。
- 布刀玉命(フトダマノミコト)・・・アマテラスが天岩戸に戻れないようにしめ縄を張った神様。
この7柱の神様はアマテラスを岩戸から出したときの主要メンバーね。
- 天石門別神(アメノイワトワケノカミ)・・・アマテラスが天岩戸から出てきた時に天の岩戸から生まれた神様。
更にこの時アマテラスは「三種の神器」をニニギに持たせたとあります。
<ニニギ+上記8柱の神様達の道案内>
- 猿田毘古神(サルタビコノカミ)・・・国津神。後にアメノウズメノミコトと結婚する。
サルタビコノカミは道案内をした後、しばらくは国造りを手伝うが最終的には地元の伊勢に帰りました。
猿田彦神社は三重県伊勢市の伊勢神宮の近くにある神社。名前の通りサルタビコノカミを主祭神とした神社で、宮司さんはこのサルタビコノカミの子孫と言われている。
椿大神社は三重県鈴鹿市にある神社で猿田彦大神を祀る神社の総本社。こちらの神社の宮司さんもサルタビコノカミの子孫と言われている。
一行が降り立った地は「日向の高千穂」という場所です。この高千穂という場所の候補は主に2カ所あり、宮崎県と鹿児島県の間にある「高千穂峰」と「宮崎県西臼杵郡高千穂町」と言われています。
槵触神社は宮崎県西臼杵郡高千穂町ににある神社。主祭神はニニギでご神体は「槵触山」。この「槵触山」が天孫降臨の場であったという伝承がある。
霧島神宮は鹿児島県霧島市霧島田口にある神社。主祭神はニニギ。元々は高千穂峰を信仰していた神社と考えられていて天孫降臨と関連の深い神社と言われている。
天孫降臨についての関連神社は他にもたくさんあるみたいね。
不老不死の神様に寿命が出来た理由は・・・男の性
降臨したニニギはその後、山の神様「オオヤマツミノカミ」の子供の木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤヒメ、以下サクヤヒメ)と結婚します。
オオヤマツミノカミはイザナギとイザナミが生んだ神様よ。
この際、オオヤマツミノカミはサクヤヒメと一緒に姉の石長比売(イワナガヒメ)をセットで嫁によこしました。
ところが!この姉のイワナガヒメは不細工だったんですね。で、ニニギノミコトは姉を返してしまいました。
<不細工な姉もセットで嫁によこしたオオヤマツミの意図>
妹のサクヤヒメは「美しく花のような繁栄をもたらす」が「散っていく」のが定め。
対してイワナガヒメは不細工だけど「岩のように永遠の命を守る力」がある。
セットで嫁にした方がニニギにとって良いという親切心だったんですね。
今書いたら怒られそうな話よね。
ニニギがイワナガヒメを返してしまったことで、不老不死だった神様にも寿命ができてしまったとされています(その他にも神力がなくなったりした)。
雲見浅間神社は静岡県賀茂郡松崎町雲見にある神社。御祭神はイワナガヒメ。イワナガヒメはニニギノミコトに追い返された後、この神社のある山に引きこもったとされている。
全国に沢山ある「浅間神社」はサクヤヒメを祀っているけど、ここはイワナガヒメを祀っている珍しい神社ね。
火事の中で生んだ三つ子
こうしてニニギとサクヤヒメは結婚し、その後サクヤヒメは妊娠しました。ただこの時、ニニギは自分の子ではないのではないか?とサクヤヒメを疑います。
それを受けてサクヤヒメは「神の子なら何をしても無事生まれてくるはず」として、出産時に出産小屋に火をつけて出産し、生まれてくる子供がニニギの子である事を証明しました。
生まれてきた子供は三つ子でした。
長男・・・火照命(ホデリノミコト)、別名「海幸彦」
次男・・・火須勢理命(ホスセリノミコト)
三男・・・火遠理命(ホオリノミコト)、別名「山幸彦」
火の中で生んだ子供だから全員の名前に「火」が付くのね。
木花神社は宮崎県宮崎市にある神社。主祭神はニニギとサクヤヒメ。境内に上記の出産小屋の跡や産湯に使ったとされる霊泉桜川がある。
「海幸彦」と「山幸彦」どちらが跡継ぎか?
「海幸彦」と「山幸彦」ってなんか聞いたことはあるけど、何の話だったかな?という方は多いのではないでしょうか?というか私はそうだったのですが、実際読んでみたら古事記に書いてある話自体は知らない話でした。
ただ、最終的にニニギの跡継ぎは「山幸彦」になるのですが、その過程で「山幸彦」が海の神様である「オオワダツミノカミ(イザナギ・イザナミの子供)」に会いに行く下りが「浦島太郎」の話の元になっているようです。なので何となく親しみのある話に感じたみたいですね。
というわけで、「山幸彦」ことホオリノミコトは海の神様オオワダツミの元に行き、そこでオオワダツミの助力を得て兄に勝ちニニギの跡継ぎになります。
更にオオワダツミの娘の豊玉毘売(トヨタマヒメ)と結婚し、子供の鵜葺草葺不合命(ウガヤフキアエズノミコト)が生まれます。
この出産のときも「見るなよ!絶対見るなよ!」の伝統芸が発動してトヨタマヒメは子供を残して海に帰ってしまいます。
この段階で天皇家の血筋には、元々の最高神の血筋に山の神様(サクヤヒメ)と海の神様(トヨタマヒメ)双方が入って最強という形になりました。
初代天皇「神武天皇」誕生
長くなったので大幅に省略しましたが、ウガヤフキアエズノミコトが生まれてすぐトヨタマヒメは去ってしまいます。
なのでトヨタマヒメの妹の玉依毘売(タマヨリヒメ)がウガヤフキアエズノミコトを育てました。
そして最終的にウガヤフキアエズノミコトとタマヨリヒメは結婚して子供をもうけます。
その第四子(末っ子)が後の神武天皇になります(神武天皇以降は古事記中巻になります)。
神武天皇はアマテラスから数えると5代孫になりますね。
神話の時代は長男じゃなくて末っ子が跡継ぎになることが多いのね。山幸彦、神武天皇もそうだし、天皇家じゃないけど大国主神も末っ子よね。
神社を調べてたら長くなりました
私は元々は神社巡りをしていて、祀られている神様を調べていたら古事記に行きついたんですが、読んでみると結構興味深い話が多かったですね。
一つ一つの話というより、良く見聞きする話の元になっているという意味で「へ~」となることが多かった印象です。今後神社に行ったらそういった背景までひっくるめて楽しめそうな気がします。
ただ、流石に八百万の神様といった所でしょうか?古事記に出てくる神様だけじゃ日本の神社は全て網羅できないんですよね。例えば全国に沢山ある「お稲荷さん」なんて古事記とは全く関係ない神様ですしね。
今後もちょっとづつ調べていきたいと思います。
実際最初に神社巡りしたときに比べれば色々分かるようにはなってきました。
ひとつ前の記事はこちらです。よろしければご覧ください。
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