日本人として、なくてはならない調味料である味噌と醤油。その内味噌は先日手作りに成功しました。となればもう一方の醬油も作ってみたくなるのが人情というモノでしょう。しかし、味噌に比べると醤油は少々大変なようです。
ヨーグルトメーカーを使って醤油を手作りする!
日本人にとって身近にある醤油ですが、何からどうやって出来ているかご存じですか?
醤油も麹の力を使って作る発酵食品なんですよ。
味噌を作ったら次は当然・・・!?
前々から興味があったこともあり、私は昨年お味噌を手作りしてみました(5月に仕込んで12月に食べ始めました)。
味噌を作ったのなら次は当然「醤油」とくるのが自然ですよね?
しかしちょっと調べてみると、味噌に比べ醤油は結構難しそうです。
一番のネックが「大豆に麹菌を付着させて、菌を増殖させる」という工程です(温度管理と雑菌対策が必要)。
どこまでやったら手作りなの?
実は味噌にも「麹菌を増殖させる」という工程はあります。しかし味噌の場合は米麹を買ってくることでそれを省略できるのです。そして米麹を買ってきてその工程を省略しても、その他にやることがある為に「手作り感」を得ることが出来ます。
一方、醤油ではこの「大豆に麹菌を繁殖させる」工程を省略してしまうと他にすることがほとんどありません。
他の料理に使えないこともあり、米麹ほど簡単に入手できませんが醤油の元となるこの「大豆に麹菌を増殖させたもの」も通販などで購入することが出来ます(醤油の手作りキットみたいな名前で売っています)。
しかしこれを買うと、届いたものを塩水に入れてかき混ぜるだけなんですよね。
これを手作りといえるんでしょうか?
自己満足の世界だけど、私はそれじゃ「手作り」とは言えないと思いこの方法は取りませんでした。
麹菌を増殖させる方法は?
味噌を仕込んだ時からいつかは醤油もと思っていたので、ちょくちょくネットで検索などはしていました。しかし簡単に真似できるような手法はなかなか見つかりません。麹菌の繁殖に必要な温度は30~35℃位。この温度を維持しつつ、他の雑菌が入り込まないような環境を作るのはやはり大変そうです。
と、そんな中ふと目に付いたのが「ヨーグルトメーカー」でした。
ヨーグルトメーカーで醤油を作ってるという人は見つからなかったのですが、米麹なら作ってる人がいました。
米麹が作れるなら醤油も作れるはず!
ということでヨーグルトメーカーを購入。醤油の前に米麹も作ってみました。
という訳で醤油を仕込んでみました。
ネット検索すると分かるのですが、自分で醤油を作ろうとするような人は一度に結構な量を作っています。
まぁ材料の方も基本はkg単位で売ってるしね・・・
ヨーグルトメーカーを使って醤油を作る際、一番困ったのは「一度にどれ位作れるか?」が全く分からなかったことです。
主な材料は大豆と小麦ですが、ネットで探すと1kg単位・・・私の場合は小麦が2kg単位のものしか見つからず、大豆と小麦を2kgづつ購入しています。
当然かなりの量です。
一方、私が購入したヨーグルトメーカーが一度に扱える量は1ℓです。
同じようなことを考えている人がこの記事を読んでいると思いますので最初に正解を書いておきます。
容量1ℓのヨーグルトメーカーでは乾燥状態で大豆250g、小麦250gでの仕込みが限界でした。
以下にその作業内容を記していきます。
大豆を戻す
まずは大豆をざっと洗ってから、水に浸けて戻しておきます。
色々悩んだ挙句、まずは1kg分でスタートです。
正確に時間は見てませんが、ほぼ丸一日放置しました。
大豆を茹でる
本格的に作る場合は大豆は”蒸す”らしいですが、この量を蒸すのは家庭では難しいと思います。
私は普通に茹でることにしました。
指で簡単に潰れるくらいの柔らかさになるまで、今回は3時間ほどかかりました。
茹であがり
左の器は直径38cmのコネ鉢です。1kgの大豆を戻して茹でるとこんな量になります。
対して右側の器がヨーグルトメーカーの容器(1ℓ)です。
果たしてこの容器にどの位の大豆が入るのでしょうか?
4分割が妥当!?
1kgの大豆をざっと四等分すると、ヨーグルトメーカーの容器の七分目位になりました。
※満タンにしないのは大豆の外に小麦を入れる為
この1/4に当たる量で作業していきます。
残りの3/4は冷蔵庫保存して、作業を繰り返すことにしました。
玄小麦を炒る!
玄小麦・・・私は聞き慣れない言葉でしたが小麦の玄米バージョンとでも言いましょうか?
小麦を脱穀し、製粉する前の小麦だそうです。
こちらを乾燥状態の時の大豆に合わせて250g計量します。
お恥ずかしい話、この歳になるまで小麦というモノを見たことがありませんでした(普通粉になってるものしか見ませんよね?)。
これを炒っていきます。
250gでこの量ですから、中華鍋で一度に炒れる小麦は500g位が限界といった所ですかね?
小麦は炒るとパチパチ爆ぜて膨らんでいきます。
写真右が炒る前の玄小麦、左が炒った後です。
炒った小麦を粉砕
炒った小麦をミキサーで粉砕していきます。
完全に粉になるまでではなく、ある程度粒が残るようにします。
250gというとパンにすると一斤分ですが、こうしてみると結構な量ですね。
炒った後なので結構熱々ですから、このまま30℃近くまで冷まします。
麹菌を撒く(種切り)
麹菌はネット通販で「醤油用」となっているものを購入しました。
これを2g用意します。
茶こしを使って麹菌を粉砕した小麦に満遍なく振り撒いていきます。
その後さらに良く混ぜます。
大豆投入
大豆も30℃位まで冷ましてから、種切りした小麦の中に投入します。
小麦粉が大豆をコーティングする様に良く混ぜてやります。
ちなみに大手メーカーでは大豆油を搾った後の大豆から醤油を作るそうです。
丸大豆醬油なんていって差別化を図ってるのはそういう背景があるからね。
ヨーグルトメーカーで発酵開始
煮沸消毒した蒸し布をヨーグルトメーカーの容器にセットして、そこに大豆と小麦を入れていきます。
結構ギリギリ一杯という感じになりました。
私が購入した麹菌の説明書には30~35℃を維持するように書いてあったので、今回は31℃設定にしました。
手入れ(1回目)
発酵開始から約20時間後。
一回目の手入れをしました。
もう結構麹菌が繁殖してる感じですね。
麹菌の繁殖には酸素が必要なのでこうしてばらして空気に触れさせます。
この段階ではそうでもありませんでしたが、菌の繁殖が活発になると結構発熱するので冷ましてやるという意味もあります。
手入れ(2回目)
1回目の手入れから6時間後(合計26時間)。
手入れ(3回目)
2回目の手入れから8時間後(合計34時間)。
麹菌の活動が活発になってきたのか、温度が40℃を超えていました。
30℃近くまで冷ましてから再びヨーグルトメーカーにセットします。
手入れ(4回目)
3回目の手入れから10時間後(合計44時間)。
前回が40℃を超えていたのでもっと間隔を短くすべきでしたが、夜間で寝ていたので10時間開いてしまいました。
この時も40℃を超えていました。
「温度を上げすぎないのが上手く作るコツ」と、麹の説明書にはあったのですが、まぁ失敗ではないでしょう。
これで完成としました。ちなみに失敗すると納豆みたいになるようです。
もろみ作成
塩水の濃度をどうするか?
こちらも調べても正解が分からなかったことの一つです(地方によっても違う)。
今回は大豆250g、小麦250gに対して、水900ml、食塩207gという分量にしました。
この分量で塩水を作ります。
作った塩水に発酵を終えた醤油麹を加え、混ぜます。
これを「もろみ」というそうです。
最初の方は毎日1回混ぜた方が良いようです(徐々に1回/週、1回/月と間隔をあけていってもOK)。そしてこのまま半年~1年発酵させます。
完成が楽しみだわ~
2セット目以降
四等分した残りの茹でた大豆を冷蔵庫から取り出し、軽く茹でます(殺菌目的)。
そしてまた玄小麦を炒って・・・と同じことを繰り返します。
ヨーグルトメーカーのキャパ的にこうしないと量が作れません。面倒くさいですが仕方ありませんね。
ただ、大豆を茹でるのは時間がかかるから、茹でるまではまとめやった方が良さそうよね
手作り醤油のコスト(予想)
今回はまだ仕込み段階なので、手作り醤油のコストは分かりません。
最終的には発酵の進んだ「もろみ」を絞ることになるのですが、その際どの位の量の醤油が採れるかが今の段階ではハッキリしません。
ここではその搾り取れる量を仮定して、手作り醤油のざっくりとしたコストを算出しておきます。
コメント
こんにちは。コメントの件、ありがとうございました。
私がいろいろ汗だくになっていた頃、醤油職人が爆誕していたんですね。
そういえば柳井市に醤油蔵があり見学したことがあるんですが、大きな醤油樽の中で発酵している音が聞こえました。「ピチ、ピチ・・・」と小さな気泡がはじける音です。
あれを自宅で???この後楽しみですね。
こちらはこの数日間で膝だの腰だのに負担がかかり、加齢と太り過ぎを痛感してます。
与謝野さんこんにちは。コメントありがとうございます。
察する所、既に引っ越しは完了したようですね。お疲れさまでした。
醤油の方は大豆2kg分・・・今回のやり方だと計8回ほどこの作業を繰り返さないといけませんので当分同じことの繰り返しですね。
完成は楽しみなのですが、味噌と同様に年末ですからね~
先は長いです。